2016年03月07日

おっかなびっくり、初のバイク同乗経験談

大学最後の年のこと。私は卒業論文に全力を注いでいたのですが、秋も深まった10月下旬に1週間ほどの休みがとれることになりました。というのも担当教授が何かの都合で休講するので、それ以外にとるべき授業もなかった4年生の私としては、「じゃあ論文の付けたしになるよう、フィールドワークに出よう」と思いました。複数かけもちしていたアルバイトも休み、専門分野である地理歴史の名跡を、泊りがけでたずねに行ったのです。

それは人里離れた辺鄙な場所でしたが、ふとしたことで知り合った同年齢の男性が「え、タクシーで見て回るの?大変じゃない、僕運転してあげるよ」と親切に申し出てくれたのです。翌朝現れた彼を見て私は仰天しました。大型バイクから降りてきてにこにこしているのです。私はてっきり車で案内してもらえると思いこんでいたので、私用のヘルメットを渡された際は内心「こ、怖い!」と怯えきっていました。不器用で自転車に乗ってもよく転びかけるし、教習所でスクーターに乗った時は絶体絶命の思いでした(それ以来乗っていません)。そんな私をよそに彼はさっさと準備をして、「あの辺ねーカーブが多いの、僕の動きに合わせて体を曲げてねー」。

生きて帰れるのかしらん…と顔面蒼白で座った後部シート。走りだすとともに、それまでに抱いていた恐怖は薄れました。彼は非常に慎重な運転をする人でしたし、シートは案外安定していて乗り心地の良いものなんだな、と驚きました。

生まれて初めてのバイク搭乗、慣れてくると自分の体に触れていく大気の流れが心地よく感じられました。折しも清々しい秋晴れです。実際に訪れた名跡も興味深かったのですが、私にとってはこのバイク同乗経験が実に心地よい思い出として、いつまでも印象に残っています。親切な彼のおかげで、私の卒論は教授陣からも高評価をいただきました。

長い年月が流れましたが、あれ以来二輪車の類には登場する機会に恵まれませんでした。ただ、秋晴れの中を車でドライブ中、ハーレーなどに追い越される時など、あの頃の思い出がふっと蘇り、心が浮き立つ思いがします。
posted by メルボルン2006 at 16:40| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする